総入れ歯の歴史
総入れ歯の歴史は江戸時代にさかのぼります。昔の入れ歯はなんと木で出来ていましたが、とてもしっかりとした素晴らしい入れ歯でした。そんな素晴らしい入れ歯の作り方ですが、現代のような材料はもちろんありませんので、当時は蜜蝋を使ってお口の中全体の状態一気に型取りをしていたそうです。
江戸時代と現在の保険診療での総入れ歯の比較
江戸時代でさえ、一気にお口の中全体の状態を型取り、総入れ歯を作っていきますが、現在の保険の総入れ歯は上と下を別々に型取りして作ります。もちろん、お口の中の状態をしっかりと把握して作った入れ歯の方がより精密な総入れ歯が作れます。その点から、現在の保険の総入れ歯よりも江戸時代に作られた入れ歯の方がよりお口の中にあった入れ歯の作り方をしていたと思われます。
当医院が行う総入れ歯について
当医院の入れ歯製作で“こだわりポイント”が3つございます。
① お口の中の型取りの方法
② 総入れ歯の形
③ 咬み合わせの器械を用いる
この3つのこだわりポイントを踏まえながら入れ歯治療を行っていくことで、より快適な総入れ歯をしていくことができます。
①お口の中の型取りの方法への“こだわり”
入れ歯治療を行うときに大切なことの1つにお口の型取りがあります。
型取りを適切に行うことで、入れ歯の適正な形を把握することができ、さらには咬み合わせの器械を同時に用いることで咬み合わせを整えていくことができます。
つまり、“型取り”は快適な入れ歯の最初の出発点なのです。
当医院では、総入れ歯治療の出発点でもある型取りで“お口の中の全体の状態”を把握しております。
お口の中全体の状態を把握するというのは、お口の中を構成している部分(外側は頬や唇、内側は歯肉や舌など)や、お口の中の空間を全て把握できる型取りをすることです。
総入れ歯治療をしていくのに、なぜお口の中全体を把握する必要があるのか。それはお口の周りの筋肉などが、総入れ歯の吸着に大きく関わっているからです。
また、全体の状態を把握した型取りを行うことで、頬や唇の型取りも同時に行えます。
そのため口元の膨らみであったり笑った時の歯の見え方であったりと、ある程度把握することができますので、顔のバランスに合うように口元をふっくらとさせて若々しく見えるようにすることもできるようになります。
当医院ではお口の中全体の状態を把握する型取りを採用しております。
②総入れ歯の形への“こだわり”
お口の中全体を把握することで、お口の周りの筋肉と調和した入れ歯の形を決めることができます。その入れ歯の形を考えたのがドイツのチュービンゲン大学のDr.シュトラックです。
Dr.シュトラックは総入れ歯の形は“お口の周りの筋肉と調和した形態”にするということを 1949年に提唱致しました。
当医院ではこのDr.シュトラックの提唱したシュトラックデンチャー(総入れ歯)を採用しております。
③咬み合わせの器械を用いる“こだわり”
お口の周りの筋肉と調和させた入れ歯の形にすることはもちろん大切ですが、咬み合せを整えることもとても大切です。
適切な咬み合わせの入れ歯に作るためには咬み合わせの器械を用いることが重要なのです。
この器械を用いることで、見た目にもよく噛みやすい入れ歯となっていきます。
当医院ではドイツKaVo社で開発された咬み合わせの器械を採用しております。
以上、3つのポイントを最大限に反映した日本歯科大学元教授 稲葉繁先生が考案された“上下顎同時印象法による総入れ歯治療”を当医院で取り入れております。
当医院では、稲葉繁先生からこの治療法を学んでから20年以上も行っております。
実際の診療の基本的な流れ
患者様の入れ歯に対するご要望など、困っていることなどを徹底的にお伺いいたします。そして、患者様に合ったより良い治療を行わせていただければと想います。
患者様のお口の中の状態をみさせていただき、一回目の型取りを行います。このときは上と下の型取りを別々に行い、次回の上下顎同時印象法をするための必要なお口の中の記録を取らせていただきます。
いよいよ上下顎同時印象法による型取りを行います!ここで、上下同時印象法の簡単に理解できる2つの利点についてご説明いたします。
1.お口の中の全体状態を記録できる!
精密な型取り、咬み合わせの記録、上下顎の高さ・位置関係、お口の周りにある筋肉の記録、舌の記録、唇の記録など大切な記録を一回でとれるのです。
2.上下左右バランスのとれた総入れ歯が作れる!
型取りをした記録をドイツのカボ社の咬合器(咬み合わせの器械)につけることができるので、とても全体的なバランスのとれたものが出来上がります。
他に、歯の色や形などは患者様の肌の色、顔の輪郭などを参考に患者様と一緒に相談して決めます。
お口の中全体の状態を型取りを行ったもの |
完成まであと一歩です。完成前に蝋でできた入れ歯を試に入れて、最終確認を行います。
確認する点は大まかに4つです。
などを行います。この際、問題がない場合は次が完成になります。
きれいに磨かれた入れ歯が完成いたします。この時もう一度、審美性、適合性、発音、咬み合わせのチェックを行います。新しい入れ歯を入れた直後は痛いところが出てくることはございますが、調整をしながら使っていただければ慣れてきて使いやすくなります。
よくあった入れ歯で食生活はもとより生活に活力が出てくるようになればと思いますので、どうぞ大切にお使いください。